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上賀茂営業所 大場 静哉 指導員

大場

 MKタクシーでは、新人を教育する「指導員」がいます。長年ドライバーとして実績を積んだ者が指導者となり、新人ドライバーが一人前になるまで、指導や仕事上のアドバイスをしています。
 今回、その指導員の一人であり上賀茂営業所に勤務する大場静哉指導員に、ドライバー時代の体験や新人教育の指導について話を聞きました。

その一言で、空気が変わる


 「『ありがとうございます』。私は、その言葉にこだわってきました。早口になったり、省略したりせずに、言葉の最後まではっきりと、気持ちを込めてお礼を言うことが大切です」。大場指導員が繰り返し話したのは、一言に込める気持ちの大切さだった。大場指導員が「ありがとう」にこだわるのは、たった一言であっても気持ちを込めれば、その場の雰囲気を変えられるということを体感してきたからだ。
 MKでは挨拶をマニュアル化し、全ドライバーがそのマニュアルを体得している。しかし、新人の頃は、タイミングを逃し、言えないこともある。そんな問題に大場指導員は1つの解決策を見つけた。
 「車に乗り込んでこられるタイミングで『ありがとうございます』と最初に言うと、その後が不思議とうまくいきます。お客様と少し心が通ったようになるからです。最初にコミュニケーションがとれると、行き先、ルート、車内の温度などをうまく聞くことができます。最後には、お客様から『ありがとう』と言っていただけます。それを聞いて、こちらもうれしくなります」。
大場入社 入社当時の大場指導員

会社とともに歩んだ「ありがとう」の歴史


 大場指導員がMKに入社したのは昭和51年。その当時、MKでは「ありがとう」運動を推し進めてた。どのタクシーも「ありがとう」とお礼を言わないどころか、一言も発しないのが「常識」だった時代だ。唯一、個人タクシーが曲がりなりにも「ありがとう」、「おおきに」と挨拶をするということで、お客様から好評を得ていたようだ。そこでMKでは、「個人タクシーに追いつけ、追い越せ」をスローガンに掲げた。
 毎月全ドライバーが集まり、来賓や経営者から話を聞いて学ぶ「全員業務集会」。大場指導員が入社して初めて出席したとき、強烈な印象を受けたと言う。MKの創業者、当時の会長・青木定雄が大声を上げるのだ。「なぜ『ありがとう』が言えないんだ! 八百屋でねぎ1本買っても『ありがとう』と言っているじゃないか」。大場指導員は、自身が「そのとおり」と共感しただけでなく、周りのドライバーみんなが同じ方向へ歩んでいると感じたのだ。
 間もなくして、MKは、「挨拶をしなければ、運賃はいただきません」と宣言する。タクシーは接客サービス業であり、お客様からいただく運賃にはサービス料が含まれている、だから、サービスを怠ったなら運賃は頂戴できない、という考えを持ってのことだ。このことは新聞などにも取り上げられ話題になった。すると、周りのタクシー会社が黙っていない。「MKは乞食タクシー」と誹謗を浴びせるだけでなく、「MKには燃料を売るな」と業界全体で妨害をしてきたのだ。それでも、当時のMKドライバーは屈しなかった。大場指導員は当時のことを、お客様に救っていただいたと振り返る。「『他のタクシーはMKのこと悪いように言うけど、私はMKが好きで、MKしか乗りません』。その言葉が、自分たちが間違っていないという証明でした。そして、時が経って、『MKさんのおかげで京都のタクシーがよくなった』とお客様がおっしゃったとき、私たちの目標は達成されたのだと感じました」。

ありがとう運動 「ありがとう」運動昭和40年代後半~
運賃いただきません 運賃いただきません
「挨拶をしなければ、運賃はいただきません」昭和50年代前半~

努力すれば、返ってきた


 大場指導員でも苦労したのは、地理の勉強だった。京都でいち早く無線配車を導入したMKは、無線配車の仕事が中心だった。全ての指示がオペレーターの音声で行われた当時の無線配車では、地理に自信がないと無線配車の恩恵にあずかれない。「○○にお客様がお待ちです」とオペレーターが無線で呼びかけても、そこがどこかがわからなければ、応えることができないのだ。
 「休日には祇園を自転車で走り、『ここが、無線でよく流れるところか』と確認したり、自信のない地域でお客様を降ろす機会があると、少し周囲を散策して無線配車でよく呼ばれる場所を確認したものです」。
 「地理が分かるようになると、無線配車の仕事を受けて、みるみる売り上げが高くなっていきました」。

個性も伸ばしてやりたい


  今、指導者として、新入社員には、自身の体験からアドバイスする。「初めは『ありがとうございます』だけでもしっかり心を込めて、笑顔で言いなさい。自然とお客様とも打ち解け、スムーズにいくから」。「地理の勉強は、自分でもよく勉強しておきなさい。やった人とやっていない人とで大きく差が出るから」。
 それでも、タクシーは奥が深くて、難しい仕事だと言う。「タクシーで難しいのは、基本の挨拶やドアサービスを超えて、その場その場の対応が求められるから。営業に出れば、いろんなお客様に出会います。だから、型にはまるだけではないところがあってもいい」。
 そこで、大場指導員が心がけているのは「できるだけ褒めてやる」こと。一般的に、できない新人に対してはどうしても叱ることが多くなるものだ。その中で「私は怒鳴ることはしません。もちろん悪いところは指摘しますが、褒め言葉をつけることを忘れないようにしています。例えば『さっきのお客様への笑顔はよかったから、言葉をもう少ししっかり伝えよう』とか『全体的な運転は丁寧だから、交差点ではもっと首を横に振って確認しよう』と」。
 「それぞれのよい個性が伸びることが、後々、マニュアルよりもお客様に喜ばれる対応につながるからです」。
教習
教習
新人教育現場
上:ドアサービスの訓練中
下:地理などの知識を勉強中

(取材日:平成25年11月8日)