心をくだくと、心が動く

【癒される話】「小さな企み」

名古屋エムケイ 2009年入社

母親に見送られ乗車したのは小学生の女の子ひとりだった。

表情の固い女の子と、笑みを絶やさない母親の温度差に、ふと違和感を感じる。

その不安げな顔に気づいているにも関わらず、

子どもの不安を取り除かないまま送り出そうとしている。

聞けば、英語の検定試験を受けに行くという。お供先は試験会場になっている大きな教会だった。

 

出発してまもなく、女の子が「会場の中まで一緒についてきてくれませんか?」と言った。

ははぁ~ん。謎の半分が解けた気がした。

 

この小さなお客様は試験そのものはもちろん、初めていく会場に不安を抱いているのだろう。

学校なら、いつものように登校して席に着けば、答案用紙が配られる。

だが、今回は教会というアバウトな会場で、無事試験が受けられるか不安でいっぱいなのだ。

 

だがそんな「心配性な娘の性格」を知っているはずの母親がアシストしないのが不思議に思えた。

母親が車で送っていけば安心なところを…。

なぜ、MKを選んだのか?

 

疑問は確信に変わった。

母親はきっと、わが子に「処世術」を教えたかったのだろう。

わからないことや困ったことが起きたとき、どうすればよいか?

他人に何かを尋ねるときはどういう態度で、どういった言葉遣いをすべきか?

ただ、実践の舞台として全く未知数の荒波に放り出すのは忍びない。

だから、身近で信用できる大人が必要だったのではないか。

 

教会に着くと、試験を受けに来た子どもたちが大勢いた。

門の前には案内係が立っていて、「試験会場入り口・受付」と横断幕が掛かっていた。

初めて女の子から笑みがこぼれた。よほど安堵したのだろう。

「あとは大丈夫ですか?」と聞くと、「はい、ありがとうございました。」と元気よく踏み出していった。

 

母親の「小さな企み」が功を奏したのだったらよいな、と

その晩の母娘の会話がどんな風なのか想像して、なんだか少し幸せな気分になった。

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