心をくだくと、心が動く

【泣ける話】「金色の絨毯」

京都エムケイ 2005年入社

私が新人だった年の秋のこと、総合病院にお迎えにあがり、60歳前後のすらっとしたご婦人をお乗せしました。

 

“自宅へ帰る前に京都大学の農学部へ寄りたい”とのことで百万遍を東へ向かいました。

 

農学部の入口はロボットゲートになっていて、「契約車以外は入れません」との看板が。

その旨をお客様にお伝えすると、すごくがっかりした表情をされました。

そこへちょうど保安の係員さんが近づいてきたので、「なかへ入れませんか?」と尋ねると、

「タクシーなら入れますよ。」とゲートを開けてくれました。

 

なかに入ると銀杏並木の間から光が差し込み、落葉した銀杏はまるで金色の絨毯のように輝いて見えました。

 

多くの学生が歩いているなかを、ゆっくりとタクシーを進めるうちに、

私はお客様の目から大粒の涙がポタポタとおちていることに気付きました。

私が思わず、「お客様?」と小さく声をかけると、涙を拭おうともせず、「生きて帰れると思わなかったの…。ごめんなさいね…。」と

おっしゃいました。

 

人生にはさまざまなドラマがあります、私にはご婦人がどんな想いで銀杏を見ておられたか知る由もありません。

しかし、こんな美しいシーンに偶然立ち会わせていただいて、この時初めて、タクシーって深い仕事なんだなぁ、と感動しました。

 

この一回のご乗車のことは一生忘れないで大切にしようと思っています。

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