心をくだくと、心が動く

【心温まる話】いのちが生まれた!

京都エムケイ 2007年入社

 

5月の初旬、午後3時頃。

そのお客様がまさか出産直前の妊婦様とは思いもしませんでした。

 

マンション玄関前のゲートで立ちすくむ女性は絞り出すように「ああー生まれるー!出るーー!」と声を発せられ、

その様子に私は、これは一刻の猶予もない切迫した緊急の状態だ、と確信いたしました。

「お客様、タクシーの中では何かあってもどうすることもできかねます、救急車をお呼びしましょうか」

とお尋ねしてはみましたが、「あー!あーっもうダメなので…乗せてください!」と仰いましたので、

私は気持ちを切り替えて即刻ご乗車いただきご指定の最寄り病院へと向かいました。

 

「急いでくださいもう生まれるーー!」という言葉になるべくやさしく「もう少しの我慢ですから」とお応えしました。

間もなく「ああー破水した……生まれる、生まれるー!!」と聞こえ、

その十数秒後、車の中に「オギャー!オギャー!!」と元気な赤子の産声が響き渡りました。

後部座席に母子共に元気そうな様子が伺え、ほっとして、

わたしはなるべく落ち着いて慎重に病院までお供いたしました。

 

車中には長男らしい5・6歳の男の子が一緒にご乗車されていたのですが、

病院へ電話して「タクシーで生まれた!タクシーで生まれた!」と繰り返し一生懸命に伝えていました。

わたしはなぜか自分の子どもが生まれたかのように至福感・安堵感を覚えて、喜びがあふれ、感動いたしました。

そして家族とは本当によいものだなと気持ちがほのぼのといたしました。

何事もなく無事に生まれて良かったと心から思います。

翌日の早朝、ご家族が御礼に会社まで来てくださったと聞きました。

 

 

タクシー業において、日々どのような場面に遭遇するかもわからない中で、

いかに冷静沈着に状況を判断して対処できるか、

かつお客様を安全にお供先までお送りすることがどれだけ大切なのか、

この時深く感じさせられました。

このような形で人生での一大イベントに偶然にも立ち会えたことは、

私の心に末永く忘れることのない記憶として深く刻まれました。

【心温まる話】いのちが生まれた!, 4.3 out of 5 based on 67 ratings

このエピソードを評価する!

loading...

評価方法:点数に対応したハートをクリックしてください。

  • トップへ
  • エピソードランキング
  • 新着エピソード一覧
  • 京都採用情報はこちら
  • MK採用情報はこちら

ページ上部へ戻る